建物の外壁を完成させるためには、いくつかの方法があります。その一つが長年日本で採用されてきた「リシン吹き付け」という方法です。
リシンという名前は聞きなれない名前ですが、現代の日本の住宅にも多く採用されている方法なのです。
この記事では、リシン吹き付けの特徴と、そのメリットやデメリットを詳しく解説します。
リシン吹き付けとは
新築の住宅の外壁を作る際には、タイルを張り付けるような仕上げ方もあります。ですが、タイルを使用せずに「リシン」を吹き付けて完成させる方法があるのです。
リシンを吹き付けて仕上がる壁には、タイルのような平坦な感じの手触りではなく、凹凸のあるざらざらしたような表面の壁に仕上がります。
素材として使われるのは細かく砕いた砂や石、他にも樹脂やセメント等が使用されます。主にモルタル外壁の仕上げ材として使用されるものの一つがリシンなのです。
リシン吹き付け以外にもさまざまな方法がありますが、なかでも「リシン吹き付け」は新築住宅等の外壁でかなり使用されているものの一つです。
そして、上記のようなモルタル壁以外にも「コンクリート壁」や「ALC」などの上にも、リシン吹き付けで外壁を完成させることがあります。
リシン吹き付けの特徴
建物の外壁は、最終的にはローラーなどを使用して、手作業で完成させる方法もあります。しかし、リシン吹き付けの特徴としては、材料を混ぜた塗料を吹き付ける形が採られます。そのため、作業時間は、比較的短期間で完成させることができるのです。
やり方は主に「リシンガン」とよばれる機械で、リシンを外壁に吹き付けて完成させます。
日本ではこの「リシン吹き付け」の方法は、かなり前から採用されてきました。
古くは1960年ころから始まり、モルタル下地の仕上げ材料として全国に広まったという経緯があります。日本の一般的な戸建て住宅でも幅広く採用されてきました。
現代では住宅の外壁を作る方法には「スタッコ仕上げ」などさまざまな方法もあります。数十年前の昭和の時代には、リシン吹き付けが外壁塗装の主流であったという時代もあったのです。
リシン吹き付けの耐用年数
リシン吹き付けで作られた外壁は、比較的薄く作られているケースが多いです。そのため、耐用年数は、約7年から8年くらいであるといわれています。
下地となっているモルタル自体も割れやすく、それに乗じてリシンにもクラックが起こりやすいという難点があります。
一般的な住宅では、10年から15年に一度は外壁塗装を施すことが理想的とされていますが、リシン吹き付けの外壁では、その半分くらいの年数で修繕を施したほうが、住宅を長持ちさせることができるます。
修繕などの工事費用は1平米あたり、1,000円から2,000円程度の費用が掛かるとされています。
修繕の費用に関しては、吹付けタイル等の他の方法と比べると、安く済ませることができるのがよいのですが、その分長持ちさせることが難しいのがリシン吹き付けの特徴といえます。
リシン吹き付けのメリット・デメリット
前述のように、リシン吹き付けを新築住宅の外壁塗装で行うと、工事の費用は1平米あたり1,000円から2,000円程度です。その他にも外壁塗料はありますが、比較してみてもかなり安い費用で塗装できるのがメリットの一つです。
ほかにも、リシン吹き付けには通気性が高いというメリットもあります。建物の通気性はとても大切です。特に木造住宅などでは通気性が悪いと、湿度を躯体にため込んだ場合、シロアリの発生原因になることもあります。
しかしリシン吹き付けにより、建物に湿度を溜めずに外に逃せるようにできるため、建物内部の腐食劣化等を防止する事ができるのです。
逆にデメリットとして考えられることは、ひび割れを起しやすいということです。壁にひび割れができた場合、そこから雨水が侵入してしまうことがあります。それが建物の劣化原因となるのです。
ほかにもリシン吹き付けでは凸凹した壁面に仕上がるという特徴がありますが、その部分に汚れや雨水が溜まるということもあります。それがカビの発生原因に発展することもあるのです。
リシン吹き付けの注意点
モルタル壁のうえにリシンを吹き付けて外壁を完成させますが、モルタル壁の弱点としてひび割れを起しやすいということがあります。
モルタル壁の上に、サイディングボードを張り付けて、外壁を完成させればひび割れしにくい壁になります。
ところが、サイディングボードのようなパネル材を使用しないリシン吹き付けの場合には、モルタルと共にひび割れを起しやすくなります。
このようなひび割れを防止するためには、モルタル壁の「下地補修」が重要になるわけです。モルタルを補修する際には、下地補修がきちんとなされているかを確認することが大切です。
そのほかの注意点としては、現在では使用が禁止されていますが、過去にはリシン吹き付けの際に「アスベスト」を使用していたことがあります。
特に西暦2000年以前のリシン吹き付け工事では、アスベストを使用していた可能性が高いため、補修工事の際には飛散を防ぐための適切な対処が必要になります。
まとめ
リシン吹き付けの特徴としては、費用が比較的安いというメリットがある反面、耐久性がないというデメリットもあります。そのため、リシン吹付で完成させた建物は、比較的短期間で外壁修繕をする必要性があることを知っておきましょう。
建物を長持ちさせたいのであれば、外壁の修繕はとても大切な行為です。クラックなどが発生する前に対策をしたほうがよいでしょう。