屋根塗装で縁切りが必要な理由と不要な場合とは

屋根塗装 公開日:2022/06/22

屋根塗装 スレート

屋根塗装は見栄えの改善だけではなく、屋根の防水性を向上させる効果もありますが、塗装の際に縁切りを行わないと重大なトラブルに見舞われるリスクもあります。

屋根塗装の際に縁切りは必要不可欠な作業といえますが、場合によっては縁切りが不要なこともあります。

今回は、縁切りを行う理由や適切なタイミング、不要なケースについてお伝えします。

屋根塗装の際に行う「縁切り」とは

屋根塗装における縁切りとは塗装で生じた塗料の皮膜を切る作業です。

一般的な住宅の屋根には多くの場合、スレート瓦と呼ばれる屋根材が使われています。材質は大別すると粘板岩などの天然素材と繊維とセメントを混ぜた人工素材がありますが、いずれの場合も幾つものスレート瓦を屋根に並べて屋根を補強します。

そのままでは雨水を吸い込んで建材の傷みや雨漏りを引き起こすことから塗装を行いますが、その際にスレート瓦を重ね合わせた部分に塗料が入り込んで固まってしまうのです。

重なった部分が塗料の皮膜で塞がった状態になりますが、この状態を解消するために縁切りを行います。

スレート瓦以外の屋根材は縁切りが不要と言われていますが、屋根の角度や地域の降雨量が影響するので素人判断はできません。

また、ローラーを使った塗装は皮膜が厚くなりやすいのでスレート瓦以外の屋根材でも縁切りが必要とされています。

屋根塗装で縁切りが必要な理由

屋根塗装の際に縁切りを行う理由は雨水の逃げ道を作る必要があるためです。

屋根材はすき間なく敷き詰められているように見えますが、実際は小口と呼ばれるわずかなすき間があります。小口があることで雨水が屋根材の内側に溜まらず、重力に任せて流れ落ちるのです。

しかし、屋根塗装で皮膜が生じると小口が塞がれてしまい、雨水が放出されずに屋根材の内側に溜まってしまいます。こうなると屋根材が腐食し、雨漏りや屋根の倒壊など重大なトラブルに見舞われてしまうのです。

スレート瓦の場合、厚みが5ミリ程度なので小口も狭くなっています。少量の塗料で生じた皮膜でも小口が塞がってしまうので、スレート瓦への縁切りは必須と言っても過言ではありません。

新築物件で雨漏りが生じた場合、スレート瓦を使っている屋根なら縁切りを行っていない可能性があるので注意が必要です。

屋根塗装の縁切りのタイミング

雨漏りを防ぐには縁切りが不可欠といえますが、十分な効果を得るには作業のタイミングが重要になります。

屋根塗装を行ってから数日ほど経過した、塗料がしっかりと乾いた頃が最適なタイミングです。塗料が生乾きの状態で縁切りを行っても切った部分がすぐに塞がってしまい、雨水を逃がすことができません。

また、初めての屋根塗装では縁切りを行わないことがありますが、これは小口を塞ぐほどの厚い皮膜が形成されないためです。

二度目以降の屋根塗装は古い塗料の上から新しい塗料を塗る形になるので皮膜も厚くなり、小口が塞がれてしまうことから縁切りが必要になるのです。

これらの点から、縁切りは二度目以降の屋根塗装で作業から数日経った頃がもっとも適したタイミングといえます。

ただし、屋根の状態によっては最初の屋根塗装で縁切りが必要になることから業者との話し合いは必ず行うようにしましょう。

屋根塗装の縁切りの方法

屋根塗装の後に行う縁切りは手作業で行うのが普通であり、建物によって屋根の形状が異なることから作業を完全に機械化することはできません。

また、小口に入り込んだ塗料の厚さに合わせて縁切りを行う必要があるので、どうしても人の手による細かい作業が求められます。

カッターナイフや金属へらなど先端が平たくなっている道具で小口を塞いでいる皮膜を切断するのが基本的な方法です。古くから行われている方法ですが手間がかかるうえに屋根材を傷つけるおそれがあります。

そのため、近年では予め屋根材の内部にすき間を作る道具を挟み、塗装後に道具を取り除く方法が主流になっています。この方法は手間がかからず、屋根材を傷める心配がありません。

非常に便利な方法ですが、すき間が大きくなることから作業中に強い風で屋根材が剥がれる可能性もあります。

屋根塗装の縁切りが不要な場合とは

屋根塗装に伴って行う縁切りはどのような屋根にも必要というわけではありません。屋根の形状や使われている屋根材によっては縁切りは不要なケースもあります。

三角帽子のような形状をしている、角度が急な屋根は基本的に縁切りの必要がありません。急勾配の屋根は水はけがよく、塗料も屋根材のすき間に入りにくくなっているためです。

また、形状が厚くすき間が多いセメント瓦や継ぎ目がないトタン板を使っている屋根も縁切りは行いません。

塗料をスプレーのように吹き付ける塗装方法は雨水を逃がす小口を塞ぐほどの厚い皮膜は形成されないので縁切りは不要になります。

しかし、吹き付け塗装の仕上がりの良し悪しは職人の技術力に左右されるので業者選びには注意しなければいけません。

スレート瓦でも劣化によって大きなすき間が生じている場合は縁切りの必要はありませんが、そのような状態になっている部分は内側の建材にも傷みが生じているおそれがあるので早急に修理を行います。

まとめ

この記事では屋根塗装の際に縁切りも必要になる理由や作業の方法、適したタイミングについてお伝えしました。

屋根の形状など縁切りが不要になるケースもありますので、屋根塗装を業者に依頼する際は縁切りを行うかどうかについても、確認するとよいでしょう。

この記事を参考に屋根塗装と縁切りの関係を正しく理解し、最適なタイミングを見計らって作業を行ってもらえれば幸いです。

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